福岡高等裁判所 昭和27年(う)1098号 判決
外国人登録令所定の外国人が法定の除外事由がないのに本邦に入つたときは、外国人登録令第三条第一項第十二条第一項違反罪が成立し該外国人が、かつて本邦に居住していた当時の外国人登録証明書を所持すると否と、はた又該外国人が本邦を退去するにあたり、再び本邦に入る意思を有していたと否とは同罪の成否に何等の消長を及ぼすものではない。けだし、外国人登録証明書は適法に本邦に居住する外国人が所要事項の登録を申請したことを証する所轄市町村長の証明文書に過ぎずして、もとより外国人が本邦から若しくは本邦に自由に出人国すべき権利を設定したものでなく、又外国人は本邦を退去するときは再び本邦に入る意思のあると否とにかかわらず、外国人登録令第九条第一項の規定により所定の官公吏に外国人登録証明書を返還しなければならないのであるから、本邦を退去した外国人が、たとえ右の規定に違反して登録証明書を所持していても該登録証明書は該外国人の退去により当然失効したものであるのみならず、外国人が本邦を退去するにあたり再び本邦に入る意思を有していたことは一旦退去したその外国人が法定の除外事由がないのに再び本邦に入つた所為の違法性を阻却すべきものではないからである。